ソリューション事例

有機溶剤ゼロエミッション事例(1)~クールトラップによるエバポレーター濃縮作業における有機溶剤の大気排出ゼロ化~

ここでは、化学実験室ではよく使われるロータリーエバポレーターに有機溶媒回収装置 「クールトラップ OSR-CT125」を組み合わせて使用することで、有機溶剤の大気中放出をほぼ完全ゼロにした「有機溶剤ゼロエミッション」の事例をご紹介します。

 

ロータリーエバポレーター濃縮作業における有機溶剤の大気中放出

右の図に、ロータリーエバポレーター濃縮作業における標準的システム構成を示します。

一般的には、この図のように、減圧ポンプ(ダイヤフラムポンプ等)の排気(有機溶剤ガスを含む)はそのまま室内に放出されます。

図では、冷媒循環装置を使用していますが、水道水等で冷却されているケースもしばしば見受けられます。その場合、かなりの量の有機溶剤ガスが放出されていると思われます。

 

クールトラップ OSR-CT125を利用した有機溶剤ガスの完全捕捉

「クールトラップ OSR-CT0125」 が有機溶剤ガスの捕捉・回収に有利な理由をご説明します。クールトラップは下図のような構造をしており、特徴は、①ステンレス製の高効率コンデンサ(溶媒ガス凝縮器)による捕捉、②活性炭による捕捉、の2点になります。

接続は、下図(右側)のように、真空ポンプの排気口に接続して使用しますが、真空ポンプとクールトラップの間には、必ず「ウルフ瓶」を設置してください。

 

クールトラップの特長

①ステンレス製の高効率コンデンサ

ステンレス製の高効率コンデンサは弊社の特許技術で、有機溶剤ガスを冷却トラップする際に一般のガラス製コンデンサに比較して約100倍も熱交換効率が良いのが特長です。

耐食性に優れたステンレスを使用していますが、特に耐酸性が要求される場合などのために、内部をフッ素樹脂コーティングした、耐食性・耐酸性タイプも準備しています。

 

②活性炭ボックス

ステンレスコンデンサでも捕捉しきれなかった微量の有機溶剤ガスは、活性炭により捕捉します。活性炭は消耗品として販売しています。

 

 

 

ウルフ瓶

ウルフ瓶を、ポンプの排気口の後、クールトラップの前に設置します。ウルフ瓶は必ず設置するようにしてください。ウルフ瓶は弊社で販売しております。

ウルフ瓶は、次のような目的で使用します。

①真空ポンプから排出されるガスを常圧・常温で蓄積することで、溶剤蒸気濃度が希薄な状態から濃度の高い状態に濃縮し、クールトラップでの溶剤回収効率を上げます。

②減圧ポンプの排気側は減圧から一気に常圧になるため、経路内の溶媒ガスが液化しやすくなります。したがってポンプとクールトラップの間にある経路(チューブ、配管)内に溶媒の液体が溜まることがあり、経路を塞いでしまいます。経路内の液体を逃がすかたちで、詰りを防止し、クールトラップへ溶媒ガスがスムーズに送られるようにします。