

ユーザー:大阪大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 精密資源化学領域(安田研究室)西本 能弘 准教授
大阪大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 精密資源化学領域(安田研究室)西本 能弘 准教授に、現在ご使用中のグローブボックス用UCリアクター(特注仕様)について、導入の背景や使用状況などを伺いました。安田研究室では、典型金属を用いた高選択的な有機合成反応および触媒の開発を行っており、環境負荷の低減や機能性分子の創成を目指した研究を展開されています。独自の反応設計と分子構造解析を融合させたアプローチを取られています。
グローブボックス用UCリアクターについて

スターリング冷凍機(冷凍機本体)をGB内に内蔵し、制御系のみ外部に外付けとするタイプ(A型)、スタリングクーラーと制御系をグローブボックス外に設置し、冷却バス(冷却ヘッド)のみを内蔵するタイプ(B型)の2つのタイプがあります。
エタノールなどの冷媒を使用せず、フラスコ、シュレンク管、試験管、バイアル瓶などを直接冷却するアルミブロックを製作します。また、容器種類が多い場合で、アルミビーズ使用を希望される場合は、バスタイプも使用可能です。

Q1.UCリアクターやグローブボックス用の特注仕様については、どこでお知りになりましたか?
A1.(西本先生)
同じ専攻内の他研究室に導入されていたのを、先生方の口コミで知りました。そこでも同様に、グローブボックス内で使用されているとのことでした。
Q2.今回の装置をどのような場面で使用されたか教えてください。
A2.(西本先生)
有機合成反応を、水分や酸素を極力排除した不活性ガス雰囲気下で行うため、グローブボックス内で実施しています。従来はシュレンク試験管(窒素フロー下)で行っていましたが、操作に技術が必要で安定性に欠けていました。
そこでグローブボックスを導入し、合成から濃縮まで一貫して内部で行うようにしました。
ただし、グローブボックス内ではドライアイスなどの寒剤が使えないため、低温反応を実施するための手段としてUCリアクターが不可欠でした。
Q3.装置の使い方や仕様依頼の際、工夫された点やこだわったポイントはありましたか?
A3.(西本先生)
MBRAUN社のグローブボックスに合わせ、冷却ヘッドのみが内部に入る設計(B型)を選定しました。グローブボックス内のスペースを最大限確保したかったためです。
また、-80℃までの低温到達・安定した温度調節機能は必須条件でした。実験温度は様々なため、単に冷やすだけでなく、幅広い温度域での精密な制御が可能な点も重視しました。
Q4.実際に装置をご使用になって、期待通りの効果や結果は得られましたか?
A4.(西本先生)
期待通りに使用できており、とても満足しています。現在は2台のUCリアクターが稼働中で、グローブボックスの増設に伴い3台目の導入も検討中です。
冷却ヘッドはやや大きめのフランジを介して設置していますが、グローブボックス内の露点にも影響せず、問題なく使用できています。
Q5.ご使用中に困ったことやトラブル、またはその解決方法があれば教えてください。
A5.(西本先生)
現在使用中には特にトラブルはありません。ただし、1台目の導入時に冷却がうまくいかず、設置セッティングにやや時間を要しました。その際、丁寧に調整していただき、問題なく冷却が行えるようになりました。
Q6.テクノシグマ製品に対するご意見・ご感想があればお聞かせください。
A6.(西本先生)
いつも迅速にご対応いただき、大変助かっています。以前は「真空ポンプのメーカー」というイメージでしたが、今では多くの装置を使わせていただいています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
最後に
このたびは、お忙しい中インタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。
グローブボックス内で合成から濃縮までを完結させることで、実験の再現性や成功率の向上だけでなく、実験者の溶媒暴露のリスクも軽減。化学系実験室特有の溶媒臭が抑えられた快適な研究環境が実現されていました。UCリアクターが、精密かつ安全な有機合成の現場で着実に活躍している様子が伝わってきました。
